大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和47年(特わ)1960号 判決

主文

1. 被告人信和観光株式会社を罰金三五〇〇万円に、被告人郭乙徳を懲役一年六月にそれぞれ処する。

2. ただし、被告人郭乙徳に対し本裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人信和観光株式会社(以下被告人会社という)は、キヤバレーおよび飲食店の経営等を目的とする資本金二〇〇万円の株式会社であり、被告人郭乙徳(以下被告人郭という)は被告人会社の取締役(昭和四七年九月二二日以降代表取締役)として被告人会社の業務全般を掌理していたものであるが、被告人郭は被告人会社の業務に関し法人税を免れようと企て、売上の一部を除外して簿外預金を設定する等の方法により所得を秘匿したうえ、

一、昭和四三年一〇月一日から昭和四四年九月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が別紙第一記載のとおり一億二二八八万四三七二円あつたのに、同年一二月一日東京都渋谷区宇田川町一番三号所在の所轄渋谷税務署において、同税務署長に対し、所得金額が六二七万五〇〇円でこれに対する法人税額が一八五万三二〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、もつて右不正の行為により被告人会社の右事業年度の正規の法人税額四二六六万八一〇〇円と右申告税額との差額四〇八一万四九〇〇円の法人税額を免れ、

二、昭和四四年一〇月一日から昭和四五年九月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が別紙第二記載のとおり五八八六万八八六九円あつたのに、同年一一月三〇日前記所轄渋谷税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の決算の結果は欠損で納付すべき法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて右不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額二一三七万一四〇〇円を免れ、

三、昭和四五年一〇月一日から昭和四六年九月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が別紙第三記載のとおり一億六三五九万四七七〇円あつたのに、同年一一月三〇日前記所轄渋谷税務署において、同税務署長に対し、所得金額が六二八万九九四一円でこれに対する法人税額が一六五万九六〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、もつて右不正の行為により、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額五九四六万九二〇〇円と右申告税額との差額五七八〇万九六〇〇円の法人税額を免れ

たものである(各事業年度の税額の算定は別紙第四記載のとおりである)。

(証拠の標目)

一、被告人郭乙徳の当公判廷における供述

一、同被告人の検察官に対する供述調書

一、登記官吏認証の登記簿謄本三通

一、山西勇夫の検察官に対する供述調書

一、石川道子の検察官に対する供述調書

一、押収してある法人税確定申告書三綴(昭和四八年押第三三六号の一、二、三)

一、石川道子に対する大蔵事務官の質問てん末書

一、山西勇夫に対する大蔵事務官の質問てん末書五通

一、高橋進一(二通)、塩島芳雄、小倉千代登に対する大蔵事務官の質問てん末書

一、山西勇夫作成名義の上申書二四通

一、佐藤安文、佐藤安蔵、北村守、鈴原義雄、牧田光雄作成名義の各上申書

一、荻原とも子、高梨仁三郎作成名義の各回答書

一、土屋四郎(二通)、朴健緒、山本寿夫、遠藤義尚、福田徳三、金相甲、山田浩、広瀬辰雄(二通)、北村守(五通)、榎本貢(二通)、森川茂作成名義の各証明書

一、渋谷税務署長作成名義の更正決定決議書写

一、大蔵事務官野津田昌澄作成の「現金有価証券等現在高検査てん末書」「売上高調査について」「小倉酒店仕入高」「給料勘定について」「小口現金出納帳内訳」「薄外交際接待費計算書」「交際費限度超過額計算書」と題する各調査書

一、大蔵事務官真勢信雄作成の「株式等売買状況調」と題する調査書

一、大蔵事務官栗原勝作成の「銀行取引状況調」と題する調査書

一、押収してある法人税確定申告書一綴(前同押号の四)、経費明細帳五綴(同押号の五)、上野店男子給料表一袋(同押号の六)、神田店男子給料表一袋(同押号の七)、総勘定元帳五綴(同押号の八、九、一〇)、振替伝票一四綴(同押号の一一)、振替伝票一袋(同押号の一二)、試算書等二袋(同押号の一三、一四)、給料表綴一綴(同押号の一五)、第二営業部元帳一冊(同押号の一六)、第二営業部売上帳二冊(同押号の一七、一八)、ホステス給料表三綴(同押号の一九)、男子給料表二綴(同押号の二〇)、小口現金帳一冊(同押号の二一)、四四年下半期売上帳一綴(同押号の二二)、売上伝票三六綴(同押号の二二、二三、二四)

一、被告人郭乙徳に対する大蔵事務官の質問てん末書七通

(法令の適用)

1. 罰条と刑種

被告人会社につき法人税法一五九条、一六四条一項

被告人郭につき法人税法一五九条(懲役刑選択)

2. 併合加重

被告人会社につき刑法四五条前段、四八条二項

被告人郭につき刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(最重の判示三の罪の刑に加重)

3. 執行猶予

被告人郭につき刑法二五条一項

よつて主文のとおり刑決する。

(裁判官 池田真一)

別紙第一 修正損益計算書

信和観光株式会社

自昭和43年10月1日

至昭和44年9月30日

<省略>

別紙第二 修正損益計算書

信和観光株式会社

自昭和44年10月1日

至昭和45年9月30日

<省略>

別紙第三 修正損益計算書

信和観光株式会社

自昭和45年10月1日

至昭和46年9月30日

<省略>

別紙第四 税額計算書

信和観光株式会社

<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!